愛花~桜~

「クラウド王、今宵はこの様なパーティーを開いていただき有り難く思います」

立ち上がりリンと鈴の鳴るような可愛らしくてそれでいて美しい声で挨拶をするフルーナ姫にクラウドも笑みを返した。
イヴはその様子を見ながら二人が仲がいいと聞かされてはいたが二人の間に流れる雰囲気に仲がいいのではなく恋人なのではないかと一瞬思ってしまう。
すぐ隣にやって来たクラウドが席に座ると同時にフルーナ姫も席に座りそこからパーティーが始まる。
盛大な音楽に中央で踊る貴族達。
それを見ながらお喋りをするフルーナ姫とクラウドにイヴは何故こんな場所に来なくてはならないのだろうかと一人ぼんやりと考えた。
妃の勤めであるから仕方ないのかもしれないが恋人かもしれない二人の隣でいるのは妬ましく自分の傍にいない恋人を思い出して心が苦しくなる。
元々精神状態から体調に影響を受けやすいイヴは顔色を悪くしながら中央でのダンスをただ眺めていた。

「クラウド王。そちらの美しい姫君を紹介してほしいわ」

「相変わらず、美しい女性には目がないですね。此方はイヴ、桜ノ宮に住む私の妃ですよ。」

「まあ、この方があの……。聞いていたよりとても美しいわ」

いきなり話題に上がった事に戸惑いを隠せないでいたがフルーナ姫に柔らかな笑みを浮かべてペコリと頭だけを下げる。
二人はイヴの体調には気が付いていないのかイヴを積極的に会話の輪の中へと投じた。
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