向日葵を君に。
楓くんは、窓から出て私を一度振り返ってから近くの向日葵を一本ちぎった。


『――…ねぇ、向日葵の花言葉ってしってる?』
『"あなただけ見つめてる"』


楓くんは、向日葵を私に押し付けた。

「絶対迎えに行くから」

「な…っ。無理よ……っ」

「無理じゃない!瑞樹を忘れろって方が無理な話だ」

楓くんは私を力強い瞳で見つめて、いつもみたいに、優しく、微笑んだ。

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