サマータイム
第1章
夏の日
とある夏の日。あたしが目にした光景。それは、あたしの何気ない毎日を変えていった。
あれは、そう、中学二年生の夏だった。
7月に入り、夏休みまで残すところ、後10日ほど。
その日は、雲一つ無い快晴だったのは、今でも覚えてる。
「…であるからして、ここはこうなります」
授業の真っ最中、あたしは、黒板を見ながら、ただぼんやりしていた。
「行くぞ!シュート頼む!! 」
不意に、外から男子の声が聞こえてきた。元気が良さそうな声。
「バスケかぁ…」
授業に半ば飽きていたあたしは、声がした方を見た。
「氷室、パス! 」
「オッケー!任せろ! 」
それは、ほぼ瞬間的な出来事。
パスを受けた1人の男子がフィールドを駆けていく。
そして、あっという間にゴールへと迫り、綺麗なフォームでシュートを決めた。
「誰だろう…輝いてたなぁ…」
それからというもの、あたしはバスケットをしている人を見かける度に、あの男子と重ねてしまうようになっていた。