【派生小説】第三話 C案
咄嗟に長年の勘、ビルの谷間へ後ろ向きのまま倒れ込む。
それしか、無い。
しかし人が一人、やっと通れるような細い隙間。
(失敗だったか?……っていうか『仕事』って……?)
彼女は水を得た魚の如く華奢な体を活かし、アチコチに仕込んだ刃物類が徐々に迫る。
避け転がりながら、黒髪から覗く顔は。
「キレイだ……」
「え?!」
思う筈の台詞が口をついてしまった、が。
……彼女の動きが止まった。チャンスか?