Vrai Amour ~美桜の場合~
「あ、あのね」
この状況どうしたらいいんだろう
しばらく私が困っていると、ゆっくりと陸の手が私の右手を握ってきた。
指先まで真っ赤になっているんじゃないかと思うほど、熱い。
「僕の気持ちなんかどうでもいいんです。ただ・・・センパイの笑顔が見たい」
再び潤んだ瞳に見つめられると、私はいつの間にかうなづいてしまっていた。
「僕といるときは、頑張らなくていいんです。センパイが思うようにしてください」
その言葉がなんだか嬉しくて、陸がカメラを向けるとようやく本当に笑えた気がした。