Vrai Amour ~美桜の場合~
「それとこれ・・・」
陸はポケットから1枚の名刺を差し出した。
「なぁに?」
覗き込んでみると上のほうにプロダクションという文字が見える。
「美桜さんに・・・って」
「え・・・」
名刺を受け取り、顔をあげると陸は今にも泣きそうな顔をしている。
「・・・や、やだ・・・モデルなんて・・・」
正直、モデルになりたいという夢は前よりももっと近づいていると思う。
でも、何より私は「陸に撮って欲しかった」。
陸の瞳に見つめられるからこそ、可愛く素直に写る。
そう信じていた。