Vrai Amour ~美桜の場合~
「わ、私は陸が撮ってくれるだけでいい」
返そうとする名刺は陸の手で押し戻される。
「僕もしばらくは有名な先生につくことになったんだ。大学も辞める」
そのあと教えてくれた先生の名前は、陸が以前から尊敬していたプロカメラマンの名前だた。
大学ではもう会えないというショックに思わず涙がこみ上げてくる。
「もう、今の美桜なら大丈夫」
もう・・・こんなときだけ呼び捨てにするなんてずるい・・・
私は今にも零れ落ちそうな涙を必死に我慢してその名刺を受け取る。
「時々は会える・・・よね?」
「うん・・・でも前みたいに一緒にはいられない」
いつになく真剣な表情の陸に私も反論は出来ない。