Vrai Amour ~美桜の場合~
2年しか経ってないのに、陸の顔はすごく男らしくなっていた。

頬もしゅっと締まって、でも優しかった黒縁めがねの奥の瞳だけは変わっていない。






「・・・・美桜さん」


そして、ポケットから今度は折りたたんだ紙を出して丁寧にテーブルに広げた。



「・・・・僕と独占契約を結んでくれませんか」


広げられた紙は、すでに陸の名前と判が押された婚姻届だった。






私は信じられない気持ちで何度も陸の字で書かれた陸の名前を読んだ。







「・・・美桜さん・・・」



なかなか返事をしない私に、陸がゆっくりと指輪をはめた。


「本当はずっと、声をかけるよりもずっと前から、あなたのことが好きでした」


そして、その指にそっと触れる陸の唇。
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