Vrai Amour ~美桜の場合~

「陸・・・」


「・・・美桜、さん」


ウェディングドレスを脱ぎ、簡単なパーティを済ませた私たちはようやく部屋で二人きりになれた。

私はパーティで着ていたドレスもそのままでキングサイズのベットの上に座り込んだ。


「んもう、なんで呼び捨てじゃないの?」


「い、いやぁ・・・なんかひさしぶりで、照れくさくて」


結婚式が終わり、明日からは1週間撮影はオフだ。

言うなれば新婚旅行。

「やっと、陸のものになれたのに」

私は左手の薬指にはめられた指輪をもてあそぶ。

ふてくされてうつむいていると、不意にベットが沈み込んで陸の手が私のあごを持ち上げた。

「・・・・緊張、してるんだよ」

控えめに触れた唇は少しだけ震えていて、思わず胸がきゅんとした。

「・・・・美桜は平気なの?」

こつんとあわせられた額に、なんのことを言っているのかようやく気がついた。
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