Vrai Amour ~美桜の場合~
「美桜のこと、一番綺麗に撮れるのは僕の目だけだよ」

私は思わず彼の首筋に頭を摺り寄せる。

「ほら、明日も撮影早いんだろ、帰ろう」

「えーもうちょっと」

「だーめ。今夜はひさしぶりに美桜のこと独り占めするんだから」

そう言って、ほんの一瞬重なった唇に黙らされてしまう。

思わず真っ赤になった私の頭を陸の手がぽんぽんと撫でた。

「はいはい、そういう可愛い顔は帰ってからにしてください」

ほら、と差し出された手にしぶしぶつかまる。






なんだかフランスから帰ってきたら

やたら陸に翻弄させられてる。


悔しい・・・・


と思いながらも、つい頬が緩んでしまう。





彼にだけ、見せられる私の素顔。






今夜は朝まで思いっきり甘えてしまおう






そう思いながら、おそろいのリングが輝くその手をそっと握り返した。
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