Vrai Amour ~美桜の場合~
「・・・・ぼ、僕・・・・女の人と・・・その・・・」
「つきあったことないってこと?」
「・・・・う・・・うう」
陸は耳まで真っ赤にしながら俯いた。
「美桜もないのよ。今時お嬢様といえど、経験がなさすぎるのもね」
ちひろが困ったようにそう言う。
余計なお世話、と言おうと口を開きかけた時、陸が声をあげた。
「え!?う、嘘です!!センパイみたいな美人な人が・・・」
「・・・嘘だと思うなら、試してもいいよ」
「・・・た、試すって・・・・?」
ちょ、ちょっとちひろってば何言ってるの!?
今度は私が口をぱくぱくする番だった。
「美桜もたまには思い切って、飛び込んでみなさいよ。悪い人ばっかりじゃないから」
そう言ってちひろが笑う。
「それに、陸って美桜のこと好きでしょ?」
予想だにしない言葉がさっきからぽんぽん出てきて困る。
陸も私も顔を真っ赤にしたまま俯いた。
そっと視線をあげて、陸を覗きみるといつの間にか真剣な顔で見つめられていた。