居場所をなくした少女

「一人にしないでっ…」

「…また始まった」

リビングから母の泣き声が

聞こえてきた。

電話の相手は父。

あたしにはあんなに冷たい態度なのに

父になると一変する。

毎晩のように男連れてくるくせに

何が"一人にしないで"よ。馬鹿馬鹿しい。

父はと言うと。

あれから一度も帰ってこない。

もう離婚届にサインも書いてあるし、

今の彼女の方がよっぽど大事なんだろう。

別にどうでも良いんだけど。

あの人たちのことを、もう

親とは思わない。

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