居場所をなくした少女
「意味分からない。
ここは、あんたみたいな
汚い女の居場所じゃないよ」
あたしはタバコを母の手から
奪い取り、スリッパで踏みつけた。
男が驚いた顔であたしを見る。
それは当たり前よね。
あんたの前では良い子ちゃん
演じてきたんだもの。
「そんなに出ていってほしいなら
あんたがこの男と出ていけばいいじゃなー…」
ガシャン
あたしが台詞を言い終わる前に
母は私の髪をわしづかみにして
食器棚に頭をぶつけた。
「ったー…」
あたしは頬を切っただけで、
そんなに血は出なかった。