しゃぼん玉
リクの感情的な物言いに動じることなく、義弘は最後の一言を放った。
「言っておくが、例えばお前がメイちゃんのことを『彼女だから助けたい』と言ったとしても、私達は二人の付き合いには反対する」
「……は?」
「メイちゃんを助けたいと思うのなら、あの子を自由にしてあげなさい」
思いもよらぬ父親の発言に、リクはショックを受けた。
一瞬、何を言われたのかが理解出来なかった。
ただ一つわかったのは、義弘がリクの恋に気がついているということだけ。
「メイのことを好きな気持ちは、捨てろってこと?」
「そういうことだ。
……お前がメイちゃんをここで預かり続けると言うのなら、私達がメイちゃんを施設に連れていく。
お前が学校に行っている間にな」
そう言うと義弘はサッと背を向け、自身の書斎に戻ってしまった。
不穏な空気の中、リクと正美は二人きりになる。
「わけわかんねー……」
リクはポツリとつぶやいた。