しゃぼん玉
するとその時、この部屋の外側でカタンと小さな音がした。
「メイ!?」
風呂から上がったメイが、今の話を聞いていたのかもしれない。
リクが廊下に飛び出すと、階段を上がった先で、長い髪がヒラリと舞う様が見えた。
“メイ、やっぱり今の話聞いてたんだ……!”
「リク!!」
正美の呼びかけを無視し、リクは階段を駆け上った。
メイは逃げ足が速い。
リクが自室の扉を勢いよく開けると、メイはもう布団の中にいた。
「メイ……。
今日は風呂出るの、早かったな」
メイの様子を伺うリク。
だが、メイの体は掛け布団の中、呼吸で上下に揺れているだけで、いくら声をかけても、メイは一切返事をしなかった。