しゃぼん玉


大学からの帰り道。

「リョウのお姉さんだよねー?」

星崎ミズキ(ほしざき·みずき)は、知らない少女に待ち伏せをされた。

“リョウ”

その名前にミズキの胸は張り裂けそうになる。

それは、四年前に亡くなったミズキの弟の名前。

少女は、ミズキに声をかけた次の瞬間、自分のケータイの画面をミズキに見せた。

「リョウ……!!」

画面には、かつての……。

当時中学2年生だったリョウの上半身裸の画像が写されていて。

彼の皮膚には、痛々しい複数の痣(あざ)があった。


「あなたが、リョウをイジメていたの……?」

ミズキは真っ青な顔で尋ねる。

終始冷たい表情をしていたその少女は、少しだけ得意げな感情を瞳に浮かばせ、

「そうだよー。

って言ったらどうするー?」

間延びした口調は、
この少女の口癖なのだろうか。


ミズキは震えた………。

全身にものすごい勢いで血流が巡るのに、体は冷えていくような感覚だ。

< 2 / 866 >

この作品をシェア

pagetop