しゃぼん玉
大学からの帰り道。
「リョウのお姉さんだよねー?」
星崎ミズキ(ほしざき·みずき)は、知らない少女に待ち伏せをされた。
“リョウ”
その名前にミズキの胸は張り裂けそうになる。
それは、四年前に亡くなったミズキの弟の名前。
少女は、ミズキに声をかけた次の瞬間、自分のケータイの画面をミズキに見せた。
「リョウ……!!」
画面には、かつての……。
当時中学2年生だったリョウの上半身裸の画像が写されていて。
彼の皮膚には、痛々しい複数の痣(あざ)があった。
「あなたが、リョウをイジメていたの……?」
ミズキは真っ青な顔で尋ねる。
終始冷たい表情をしていたその少女は、少しだけ得意げな感情を瞳に浮かばせ、
「そうだよー。
って言ったらどうするー?」
間延びした口調は、
この少女の口癖なのだろうか。
ミズキは震えた………。
全身にものすごい勢いで血流が巡るのに、体は冷えていくような感覚だ。