しゃぼん玉

最初は腹いせで吐いていたリョウへの汚い言葉。

だが次第に、メイの中に悲しみだけが広がっていった。

“毎日こんなに悪口言ったり嫌がらせしてんのに、なんでリョウは何も言わないの!?

なんで前みたいに、私をかまってくれないの!?”


リョウの表情は日に日に暗くなり、そのうちクラス中の誰もがリョウを避けるようになった。

メイのグループは、クラスで恐れられるようになる。


リョウのクラスメイト達はこう思っていた。

メイをはじめ、メイのグループの女子達は、リョウを嫌っているに違いない、と。

だが、マサヤだけは違った。

メイがリョウに悪態をつく姿を見て、

“メイは、あの男のことが好きなの?”

と、思った。


これは、誰の目から見てもイジメにしか見えないような行為だが、マサヤにだけは違って見えていた。

“メイがあんなにかまってんのに、アイツはなんでメイを無視してんだよ……”

マサヤはリョウに、青紫色の嫉妬を覚える。

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