しゃぼん玉
マサヤはリョウの胸元を片手で思いきり突き飛ばした。
“なんだこいつ!
俺のことが怖くないのか!?
生意気な口ききやがって!!”
マサヤは、頭の血管がちぎれそうなほどの怒りに襲われる。
夕焼けが射す静かな教室の中。
無抵抗だったリョウの体は近くの机にぶつかり大きな音を立てる。
その衝撃で、彼は床に尻餅をついてしまった。
「たっ……」
リョウは小さく悲鳴を上げたが、マサヤに対して全く動じていない。
机にぶつかった脇腹をさすりながら冷静な態度で、
「ふざけてませんよ。
穂積さんに、ああいうことをやめてほしいだけです。
だから俺なりにいろいろ考えて、毎日ここで穂積さんを待ってるんです」
リョウはカバンの中から、おもむろな手つきで小さな封筒を取り出し、マサヤに見せた。
それは、女子が好きそうな可愛く鮮やかな色合いをしている。