しゃぼん玉
マサヤは、リョウが差し出したその封筒を引ったくるように奪う。
「なんだよ、これ」
「穂積さんに、手紙を書いたんです。
みんなの前では渡しづらいから……。
穂積さんが一人でいる時に渡したくて、ここで待ってるんです」
リョウが毎日のように、放課後教室に残っている理由。
それは、この手紙をメイに渡すためだった。
全く怖(お)じけづかないリョウを見てマサヤはますますイライラを募らせ、手紙を読もうとした。
するとリョウはさすがに抵抗し、
「返して下さい!!」
と、マサヤの両腕をつかんだ。
マサヤはその腕を思いっきり突き飛ばし、乱暴な手つきで制服のポケットに手紙をしまう。