しゃぼん玉

全ての物を吐き出し、メイの体はだいぶ楽になった。

この時、ふと、母のことが気になった。

翔子は今、どうしているのだろう。

高校生になってからたびたび外泊していたメイだったが、こんなに長く自宅を離れているのは初めてのことだったから。


離婚後、翔子は仕事帰りに酒を飲むようになった。

帰宅後すぐに、それをトイレで吐く、という夜が続くこともあった。

そういった母親の姿と、今の自分が重なってしまう。

“はは……。なに思い出してんだろね。

あんなやつ、母親でも何でもないじゃんか……”


この間、翔子の手によって負わされたヤケド。

その傷痕を見つめていたら、またむせた……。

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