しゃぼん玉

ナナセは気恥ずかさをごまかすように咳ばらいをし、冷蔵庫を開いて飲み物を取り出していた。

その横顔は、真っ赤になっている。

ミズキは仄(ほの)かに恥じらった。

“ナナセ君……。

ジムに通うようになってから、なんだか、言う事や行動が力強くなった?


それでもナナセ君は、きっとすごく照れてるよね?

旅行も、思いっきり勇気を出して誘ってくれたんだよね……”

「うん、行こ?


ナナセ君と行く旅行、楽しみ……。

その日まで、大学も穂積さんのことも、がんばる!!」

ミズキはナナセの顔を覗き込むようにして、ナナセの腕を抱きしめた。

その反動で、ナナセはグラスに注いでいたペットボトルの緑茶を見事にこぼしてしまった。


好きな人の愛情を感じて、その相手と触れ合える距離にいる。

二人は、そのことを幸せに感じた。

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