しゃぼん玉
シュンはリクに近付き、
「おつかれっ。
だいぶ慣れたか?」
「うん! 今日ね、焼き鳥焼かせてもらえたんだよっ!
先週までは、肉を串に刺すとこまでしかやらせてもらえなかったのに」
“リク君、バイト楽しんでるんだね。よかった”
ミズキは、嬉しそうにバイトの話をするリクを、穏やかな瞳で見ていた。
よく見ると、リクの右手には、何やらビニール袋がぶら下げられている。
「それは?」
ミズキは尋ねた。
「ああ、これね、メイへの差し入れなんだっ。
なんかね、店長がくれたの。いつも頑張ってるから家で食えーって。
だから、今日、メイに会いに行ってもいいかな?」
「うん、いいよ」
そう返すミズキの声は少し揺れた。
これからリクに、宇都宮の話をしなくてはならないのかと思うと……。