しゃぼん玉


ミズキは暗い気持ちで自室に戻った。

カーペット敷きの床にペタンと座り込み、さきほど出会った少女のことを思い出す。

見覚えのある顔だった。

“あの時、リョウと同じクラスだった子だ。

穂積、メイ……”


さきほどミズキのお金をせびった少女の名前は、穂積メイ(ほづみ·めい)。

18歳。

さきほどのメイは私服姿だったのでどこの高校へ通っているのかは分からないが、

学校へ通っているのならば、高校三年生になっているはず。


リョウは、ミズキの一つ年下の弟だった。

リョウは、四年前……。
中学二年生の時、イジメを苦に自殺した。

その犯人は分からぬまま迷宮入りしてしまったのだが、

ミズキは今日、そのイジメの主犯格が穂積メイであると感づいた。

なぜならミズキは、リョウの遺書を持っているからである。


その遺書は、リョウが亡くなった一ヶ月後にリョウの部屋で見つけたもの。

そこには、とある女子生徒にイジメられたと記されていた。


主犯は、穂積メイ。
間違いない。

彼女が中心となって、リョウを追い詰めたのだ……!!

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