しゃぼん玉
女性弁護士が足早に立ち去る足音を聞きながら、一同の頭は真っ白になる。
「ウソ……」
「そんな……」
マナとミズキは、そうつぶやくので精一杯だった。
ナナセも、宇都宮の意図がわからず何も言えなかった。
唯一、最悪の状況を予想していたシュンだけは、なんとか現実を受け止めることができていたので、
「やっぱり宇都宮は弁護士なんかじゃなかったんだな。
いま思えば、おかしい点がいくつかあるし。
宇都宮がどうして穂積に近づいたのか。
それを調べなきゃな」
リクは両手を震わせ、
「そんなのウソだよ……。
宇都宮さんは、メイの悩みとか聞いてくれてたし……。
おばさんの虐待をやめさせるって言ってくれた……。
弁護士じゃないなんて、何かの間違いだよ。
住所だ!! 住所間違えたんだよ!
ここじゃない、他の事務所なんだよ!!
もう一回探そうよ!!」
シュンはそんなリクの肩を力強くつかみ、
「住所は間違ってない。
何度も確かめただろ?
お前は宇都宮と直接関わってたし、そう思いたいのはわかるけど、今は、宇都宮の素性を、一刻も早く調べないと……!」