しゃぼん玉
リクも、心のどこかではわかっている。
目の前の現実は、夢でも何でもないと。
だが、気持ちがついていかない。
「宇都宮さんは、弁護士だよ!
俺、宇都宮さんに確かめてみる!!」
リクは声を荒げてそう言うと、ケータイを取り出し、宇都宮へ電話した。
みんな、ただならない思いでリクを見守る……。
数コール鳴った後、宇都宮はリクの電話に出た。
『リク君。元気?
どうしたの?
珍しいね、電話なんて』
相変わらず明るくて優しい口調だ。
静かな通路だからなのか、
宇都宮の声が大きいからなのか、
電話口の声が、この場に漏れている。
リクは、心に残ったひとかけらの希望に賭けた。
「宇都宮さんは、メイを助けてくれるんですよね?
そのために今、動いてくれてるんですよね?」
『ああ、そうだよ。
明日も、メイちゃんに会って話を聞くつもりだ。
でも、なかなか進展しなくて、リク君にもメイちゃんにも、申し訳ないよ』
「いえ…………」