しゃぼん玉
シュンには、宇都宮の言葉全てがでたらめにしか思えず、考えるより先にリクの手からケータイを奪っていた。
「リクや穂積のことは騙せても、俺は騙せないぜ」
『君は……!?』
宇都宮の声が動揺でうわずる。
シュンは宇都宮の精神的後退を突くような鋭い声音で、
「橘シュン。
今、リクと一緒に、あんたの名刺に書いてあった弁護士事務所の前に来てる。
ここの人が言ってたぜ。
宇都宮誠二なんて名前の弁護士はいないって。
あんた、弁護士のフリして穂積に近づいて、一体何が目的なんだよ。言え」
ミズキ、マナ、ナナセは、息を殺してシュンを見つめる。
リクは泣きながら肩を震わせていた。
『………………そっかぁ。
バレちゃったかぁ。
うまくやったと思ったんだけどなぁ』
「何のために、弁護士のフリをした?」
『これ以上詮索しない方がいいかもよ?
部外者でしょ、君は』
「………………」
『俺は、メイちゃんのお母さんに頼まれてメイちゃんに近づいたんだ。
ま、詳しいことが知りたいのなら、翔子さ……メイちゃんのお母さんに聞いてみなよ。
どんな結果になってもいいなら、ね』