しゃぼん玉
スポーツジムで知り合ったアイリとは、時々メールをする仲ではあったが、電話がきたのは初めてのことだった。
ミズキは通話ボタンを押し、ケータイを耳にあてる。
『ミズキちゃん……!!
いきなり電話してごめんね……。
あのね、聞きたいことがあるんだけど……!!』
アイリの声は矢継ぎ早で、らしくなかった。
今まで泣いていたのだとわかる鼻声を震わせ、アイリは言った。
『ミズキちゃんって、星崎リョウって人のこと知ってる??』
「リョウ……!?
何でアイリちゃんがリョウの名前を……!?」
普段穏やかで感情の起伏が緩いミズキの取り乱し方に、一同は目を見張る。
ナナセはゆっくりミズキに近づき、受話音を聞こうとした。
『やっぱり知ってるんだね!?
星崎リョウって人のこと……』
「私の、弟……だよ」
『弟……!?
そうなんだ……。やっぱり。
あのね……。
今から会えないかな?
ミズキちゃんに見てほしいものがあるの。
さっき、彼氏の部屋でね……。
星崎リョウって人の画像と手紙を見つけた』