しゃぼん玉

アイリから一通り話を聞き、ミズキは電話を切った。

体の奥から、小刻みに震え出す。

マナはミズキの顔を覗き込み、

「どうしたの?」

「アイリちゃんの彼氏がね……」

ミズキも、アイリの置かれている状況をはっきりと把握しているわけではなかった。

彼氏の部屋で、リョウの手紙と画像を見つけた、としか聞かされていない。

だが、それは長年わだかまっていたリョウの死を明かす糸口のよう。

激しい胸騒ぎがした。


ミズキは、今アイリに聞いた事と、彼女に呼び出されたことを、みんなに話した。

ミズキはアイリの呼び出しに応じたかった。

なぜアイリの彼氏の部屋からリョウ関係の物が見つかったのだろうか。

まず、それを知りたい。

だが、今は穂積メイにつきまとっているニセ弁護士·宇都宮のことを調査している最中だ。

みんなも、そのためにこうして集まってくれている。

なので、アイリに会いたいなんてワガママを言うわけにはいかないとミズキは思った。

マナやシュン、そしてリクも、ミズキの心情を察し、アイリに会いに行くよう彼女に勧めた。

「俺も、ミズキちゃんについていきたい。いいかな?」

おとなしく事の成り行きを見守っていたナナセが、そう申し出る。

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