しゃぼん玉
リクは、マナ、シュンと共に穂積家へ向かっていた。
メイの母親·翔子が、どういうつもりで宇都宮をメイに近付けたのか、納得がいくまで問い詰めなくてはならない。
だがリクは、翔子を問い詰めたいという気持ちより、今後のメイのことを心配していた。
メイが宇都宮の正体を知って傷つく前に、幼なじみである自分の口から、メイに真実を教えた方がいいのでは?
そういう気持ちが、歩を刻むたびに膨らんでゆく。
それに、宇都宮の正体を暴けたからといって、宇都宮がメイへの接近を諦めるとは限らない。
マナとシュンは、リクの目の前で、これからどう動くべきかを真剣に話し合っていた。
リクはそんな二人の背中をみて、最近知り合ったばかりの人達が、こんな風にメイのことを心配して動いてくれているのが、本当に嬉しいと思った。
それと同時に、これから起こそうとしている自分勝手な行動に対し、自分が果てしなく子供だと思える。
だが、止められなかった。
「マナちゃん、シュン君、ありがとう。
俺、今からメイに会って、本当のこと話してくる……!
宇都宮さんがメイに会いに行く前に……!
心配なんだ……。
ワガママ言ってごめんね!!」
シュンとマナが引きとめる隙もなく、リクは穂積宅とは反対方向に走り出していた。