しゃぼん玉
ミズキは、自分が知っている全てのことをアイリに話した。
マサヤが、メイとリョウの関係を妬み、リョウに暴行を加えたこと。
マサヤがリョウに怒りを抱いたキッカケは、リョウがメイに宛てて書いた手紙を読んだこと。
メイがリョウを好きになり、リョウに告白をしたが、リョウは彼女の告白を断り、そのことが、メイとリョウの関係を悪化させたのだということ。
「リョウは多分、宇野君にこう脅されてたんだと思う。
『裸のお前が痛めつけられている画像を、メイに見せてやる』
それで、リョウは自分で死を選ばざるをえなかった……」
ミズキ、ナナセ、アイリ。
それぞれの瞳には、とめどない涙が溢れている。
ミズキも、アイリに説明しながら、
“いま話していることが全部、嘘であってほしい”
と、思わずにはいられなかった。
ナナセとアイリも、同じ気持ちである。
目の前に突き付けられた真実のカケラ達。
何もかも、信じたくないことばかりだった。
そのうえ、アイリに、彼氏·宇野マサヤの悪行を告げ口しているような気持ちになり、ミズキはどうしようもない悲しみを感じていた。
アイリの気持ちを考えたら、こうして本当の話をするのも残酷なことに思える……。
アイリは、マサヤに大切にされていないと感じながらも、マサヤのことを好きでいる。
普段はふてぶてしい彼氏だが、時折見せる優しさがあたたかかった。
だから余計に、マサヤの過去と向き合うのが、つらかったのだ。