しゃぼん玉
マサヤは、お菓子を欲しがって泣きじゃくる見ず知らずの子供をなだめるために、その子の希望していたお菓子を買い与えるような性格を持ち合わせている。
ミズキの弟を想う気持ち。
ナナセがミズキを心配する気持ち。
それらを推(お)し量りつつも、アイリは涙ながらにこう口にした。
「マサヤんちはずっと、親が仕事でいないの。
だから、用事がない日は、毎晩私がマサヤのご飯を作って、一緒に食べてるの。
マサヤは、すごいひどいことをしたと思う。
なんで、そこまでリョウ君につらく当たったんだろう?って、画像とか見てこわくなった……。
でも、でも、マサヤも寂しかったんだよ、きっと。
マサヤは、普段ムカつくことばっか言うし、優しくないし、頭にくることなんてしょっちゅうだし……。
すねると子供みたいに手がつけられなくて、あきれることもあるけど。
でも、私、マサヤはきっと反省してくれると思う!
マサヤは不器用なだけで、本当はもっと、穂積さんやリョウ君とうまくやりたかったはずなんだよ……」
“私、ミズキちゃんの神経を逆(さか)なでするようなことばっか言ってるね……”
心の片隅でそう思ってはいたが、アイリの口は止まらなかった。
マサヤを軽蔑する気持ちと、反面、彼を守りたい気持ちが、アイリの心でごちゃまぜになっている。
自分がどうしたいのか、アイリ自身、つかめずにいた。