しゃぼん玉
アイリを入浴させた後、ミズキは彼女を客室に案内した。
アロマオイルが効いたのか、さきほどまで興奮気味だったアイリの精神も落ち着いたようで、浴室を出た直後、すぐさま眠りに落ちていった。
アイリが泊まることになった部屋の扉をそっと静かに閉めると、ミズキは両親の寝室へ向かった。
リョウの話をするつもりだったが、菜月と大成は眠ってしまっている。
“お母さん達、アイリちゃんとナナセ君が来て、はしゃいでたもんなぁ”
夕食時、菜月はナナセとアイリに料理を振る舞うために、普段の倍、気合いを入れていた。
ミズキはそんな光景を思い出しつつ、ナナセが待つ自室へ戻った。
ミズキの部屋で、ナナセは夜空に浮かぶ月の光を見ていた。
ミズキが部屋の扉を開けると、ナナセは小さく肩を震わせる。
静寂に身をあずけていたため、突然の人の気配に驚いてしまった。
ミズキは小さく笑い、
「ビックリさせてごめんね。
ノックするの忘れてた」