しゃぼん玉

アイリを入浴させた後、ミズキは彼女を客室に案内した。

アロマオイルが効いたのか、さきほどまで興奮気味だったアイリの精神も落ち着いたようで、浴室を出た直後、すぐさま眠りに落ちていった。

アイリが泊まることになった部屋の扉をそっと静かに閉めると、ミズキは両親の寝室へ向かった。

リョウの話をするつもりだったが、菜月と大成は眠ってしまっている。

“お母さん達、アイリちゃんとナナセ君が来て、はしゃいでたもんなぁ”

夕食時、菜月はナナセとアイリに料理を振る舞うために、普段の倍、気合いを入れていた。

ミズキはそんな光景を思い出しつつ、ナナセが待つ自室へ戻った。


ミズキの部屋で、ナナセは夜空に浮かぶ月の光を見ていた。

ミズキが部屋の扉を開けると、ナナセは小さく肩を震わせる。

静寂に身をあずけていたため、突然の人の気配に驚いてしまった。

ミズキは小さく笑い、

「ビックリさせてごめんね。

ノックするの忘れてた」

< 556 / 866 >

この作品をシェア

pagetop