しゃぼん玉
その日の午後。
日が傾いて少し肌寒くなってきた夕方前。
本日の授業を全て終えたミズキ、マナ、シュンは、穂積メイの母親·翔子の元を訪ねることにした。
違う大学に通うナナセと駅前で待ち合わせをすると、一同は穂積宅に向かいながら話をすすめた。
みんな、この時間が来るのをウズウズしながら待っていた。
大学での講義も大切なのだけれど、今日この瞬間の行動はそれ以上に大切なことに思えたから……。
本当ならこの場にリクを呼ぶつもりだったので、今朝、ミズキがあらかじめ彼に連絡を入れていたのだが、なぜか、リクとは昨日から連絡がとれないまま。
身元不明の宇都宮に、『これ以上穂積家のことを詮索しない方がいい』と言われている。
だがみんな、おとなしく見ているほど、部外者にはなりきれない。
宇都宮が何か良くない理由で穂積メイに近付いていたのはわかったが、だとしたら、ますます放置はできない。
歩を進めつつ、各自、改めて昨日の出来事を報告しあった。
マナとシュンは、穂積メイの母親に会えなかったということ。
ミズキとナナセは、昨日アイリとの間にあった事を全て話した。
新しく浮上した宇野マサヤの存在や、リョウの手紙のこと。
メイがリョウをいじめた主犯ではないかもしれないということも含めて、全部を……。