しゃぼん玉

久しぶりにこんなに冷や汗をかいた。

メグルは押し入れの中で息をのむ。

メイのためになるのなら何でもしてあげたいと思い、熱でうなされているメイに穂積宅の鍵をかりてこうしているのだが、我ながら危ないことを申し出てしまったと、今さら気づく。

“どうしよ。こんなことになるのなら、ばあちゃんかじいちゃんにもついて来てもらえばよかったかな”

全身が心臓になってしまったみたいに、心拍数が跳ね上がる。

いくら待っても人が上がり込んでくる気配はなく、ノックの音だけがメグルの元に届いてきた。

“宅配便か、セールスの人かなー?

だったら早く帰ってよぉ”

ドキドキしながら両手を組み、

“無事に切り抜けられますように!!”

普段あまり意識していない神に祈るメグルであった。



ミズキはしばらくノックを続けた後、思い切って声をかけてみた。

「メグルちゃーん!」

それに続いてマナ、シュン、ナナセも、メグルの名前を呼ぶ。

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