しゃぼん玉
メイは、リクの優しさを嬉しく思う以前に、不信感を持っていたのだ。
誰よりも優しく、メイを気にかけているリク。
幼い頃のメイは、彼の親切を幼なじみのよしみなのだと思っていた。
しかし、成長し、父親にされたことの意味を知ってから、メイのリクを見る目は変わってしまった。
「身近にいないの? ヤレそうな女。
だから、手っ取り早く済ませられそうな私の所に来るの?」
「何言ってんだよ、
メイ……」
「エッチしたいの?私と……。
リクも、それだけでしょ?」
“私の父親は、そうだった……”
愛されずに育ってきたメイには、当たり前の愛情表現が伝わらない。
「俺は、メイのことが好きだから……。
だから……。そばにいたいのに。
なのに、なんで……そんなこと言うんだよ!」
リクの頬には涙が伝っていた。
「泣き落とし?
そんなの私には効かないから」
メイは冷ややかにそう言った。
“お母さんは、泣いたって叫んだって、私への暴力をやめてくれなかった……”