しゃぼん玉
メイは普段の抑揚(よくよう)のない声でこたえた。
「別に……。
『あー、死んだんだー』って。
それだけ」
「ミズキさん、泣いてたんだよ……。
リョウのことが悲しくて」
「そんなこと言われてもー……。
私には分かんないよ、そういうの……」
リクは、『お前が同じことをされたらどう思う?』とは訊けなかった。
なぜなら、メイにとっては、たった一人の身内である翔子の死こそが本物の安楽なのだから――。
「とにかく……。
もう、ミズキさんに関わるな。
お互いにとって、良くないから」
「あんたに関係ないでしょー?
いちいちうるさい。
どうしようが私の勝手だろ。
とりあえず、この金はもらうけどねっ」
リクは小さく息をつき、肩を落とした。
目の前にいるメイの目茶苦茶な言動に慣れ切り、甘やかしてしまう自分がいる……。
それがいけないことだと、分かってはいても。