しゃぼん玉
ミズキとメイが来てからは、普段通りに話していたメグル。
しかし、僧侶がお経(きょう)を唱えている最中、メグルはずっと泣いていた。
「……ばあちゃん……ふっ。えっ……」
嗚咽(おえつ)を我慢しているのに、涙は次々流れ出る。
お経を聞いた途端に、今まで抑えていた感情が溢れ出し、止まってくれなかった。
“ばあちゃん……。
毎日一緒にいたのに……。
この間まで、笑ってたのに……。
本当に死んじゃったの?
信じられないよ……”
彼女の姿を見て、ミズキとメイも涙を流した。
ミズキは、リョウの死を知らされた時の気持ちをまざまざと思い出し、今メグルがそんな思いをしているのだと思うと、たまらなかった。
身を裂かれるように痛かった……。
けれど、遺族はその痛みから逃げることが出来ないということも知っている。
清と、最期の別れ。
親族や参列者が列を作り、順番に柩(ひつぎ)の中へ花を入れていく。
メグルの番が回って来た。
メグルは、柩の中で瞳を閉じる清に言葉をかけた。
「ばあちゃん……。
あたし、親孝行出来なくてごめんね……。
もっと早く、ちゃんと働いてれば良かったよね。
ばあちゃん……。今までありがとう……。
お金ないのに、あたしのこと面倒見てくれて、ありがとう……。
ばあちゃん……。悪いことしてごめんなさい……。
あたし、いっぱいウソついてた……。
ばあちゃん、ごめんね」