しゃぼん玉

メイは、ミズキの胸元に埋めていた顔をスッとあげた。

「ミズキ、ウソついてる」

「……」

ミズキは息を殺した。

冷や汗が出る。


「そういうの、嫌でも分かるんだ。

ウソつかないで、本当のこと話してほしい。

ミズキのことだから、私にとって都合の良くない事を隠してるんでしょ」

「……」

「お母さん言ってた。

家族は本音で話すものだって。

でも、ミズキは優しいからいろいろ溜め込んじゃうんだって言ってた。

リョウも、お母さんにこう言ってたらしいよ。

ミズキのことを甘え下手だって」

「リョウが……?」

ミズキは動揺した。

“……そんなの、初めて聞いた。

リョウ、そんなこと思ってたの?”


「ミズキと私は家族でしょ?

それともやっぱり、私のことだけ他人と思ってる?」

「そういうわけじゃない……!」

「なら……。教えてよ、本当のこと。

覚悟はできてるから」

「……」

「隠される方がきついよ……」


メイはミズキにしがみついて泣いた。

ミズキは涙を我慢し、意を決して本当のことを話した。

「翔子さんと会って、話してきた……」

「やっぱりな……。

ミズキが私に隠すことって、それしかないと思った」

メイの声音は穏やかになる。

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