しゃぼん玉

「メイちゃん、そんな風に思っててくれたんだね」

メイの変化がものすごく嬉しくて、ミズキは感動の涙を流した。

メイの気持ちがそういう風に変わったのは、つらい現実とたくさん向き合ってきたからに違いない。


ミズキは、メイの気持ちを吐き出させてあげたいと思った。

メイの中にある気持ちは、きっとそれだけではないだろう。

もっともっと、悲しくて暗いものがあるのだろう。


人の心は、汚いものを溜め込み過ぎるとおかしくなってしまう。


先週ミズキが、大学で受けた心理学の講義で、講師が言っていた。

『解決できるようなアドバイスを与える必要はない。

ただ、悩んでいる人の心の内を吐き出させるだけでいい。

それだけで心は楽になり、解決の糸口を探す元気が湧くから』


「メイちゃん。いま思っていること、全部話して?

カッコ悪いとか、恥ずかしいとか、そういう感情全部抜きにして、

心の中にあることを、ありのままに……」

「……うっ」

次から次に溢れ出してくる涙をミズキの服に染み込ませ、メイは肩を震わせた。

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