恋心屋
待ち合わせ場所に行くと、すでにもうミツキさんは来ていた。


「すみません、お待たせしました」


といったものの、約束の時間まではまだ30分もあったから謝らなくてもよかったのに、つい謝ってしまった。


「いいえ、私の方こそ早く来すぎてしまいました」


ミツキさんは僕に近づくと、甘い、柑橘系の香りが漂った。


背丈は僕よりもやや小さかったが、一緒に並ぶと中学生のカップルという感じがした。


ミツキさんくらいの年齢だったら着そうにはない服な気もするが、


「依頼者の方にできるかぎり近づくようにしています」


と言っていたので、気を遣わせてしまったのだとおもう。


とても似合っていた。


地味すぎず派手すぎず、でも、肌の露出は少しだけ多いのが気になった。


ただ、それはミツキさんの問題ではなくて、僕の問題だ。
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