恋心屋
電車から降りて、ミツキさんが
「裕太さん、本には興味があるんですか?」
「どうしてですか?」
「電車の中でずっと見てたから」
ミツキさんが時折僕の方をちらちら見ていたのには気づいていた。
でも、僕はミツキさんが僕以上にその女性のことを眺めていたのを知っている。
そのことを聞こうとしたら、
「私もあの本を読んだことがありますから」
と独り言のようにつぶやいた。
「どんな本なんですか?」
少し考えている表情になった。
「いい本ですよ。だから、私がことばをつくして説明しちゃうと、その世界を壊しそうになるから気が向いたら読んでみてください。」
説明すると壊れるような世界があるのか、僕には疑問だった。
でも、それ以上にミツキさんの表情が印象に残った。
「裕太さん、本には興味があるんですか?」
「どうしてですか?」
「電車の中でずっと見てたから」
ミツキさんが時折僕の方をちらちら見ていたのには気づいていた。
でも、僕はミツキさんが僕以上にその女性のことを眺めていたのを知っている。
そのことを聞こうとしたら、
「私もあの本を読んだことがありますから」
と独り言のようにつぶやいた。
「どんな本なんですか?」
少し考えている表情になった。
「いい本ですよ。だから、私がことばをつくして説明しちゃうと、その世界を壊しそうになるから気が向いたら読んでみてください。」
説明すると壊れるような世界があるのか、僕には疑問だった。
でも、それ以上にミツキさんの表情が印象に残った。