恋心屋

僕たちの教室からは少し離れて、しかも日差しがあまり当たらないために利用者は少ないようだが、僕が好きな場所の1つだった。



来たいひとだけがくればいいとおもうけど、僕が中学2年生のときに「朝読書」として、1時間目が始まる前の10分の間、読書をすることになった。



その結果、僕が1年生の時よりは、図書館を利用するひとは増えたとおもう。




でも、10分間「強制的」に読まされてしまうことに抵抗があった。



強制されて「物語」の世界に入り、時間が経ったら強制的に「物語」の世界からは引きはがされる。



そんな世界を壊してしまう制度を受け入れる先生たちは、なんだかイヤだなとおもったけど、図書の担当であり、担任である渡辺先生はそんな僕の想いをきちんと理解してくれている先生だった。



だから、僕は2年生からは連続して、図書委員をすることに決めた。



新しいクラスになると、最初に委員を立候補で決める。
立候補で決まらなかったら、投票するようになる。


クラスの投票でめんどうくさい委員になるよりは、多少目立つが立候補をしてましな委員になる方がよかった。


幸い、イヤな仕事はまわってこなかった。
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