恋心屋
「今はあまり読んでないから、何かいいのないかなって探してる」
ふーん、というミホは、何かを期待しているようなまなざしで僕の方を見てくる。
その瞳は、どこかミツキさんに似ていた。
いや、ミツキさんの瞳がミホに似ているのか。
そのことを考えていたら、ふと昨日電車の中で女性が読んでいた本のことを思い出した。
あの本はこの図書館にあるんだろうか。
タイトルはたしか……。
ミホに、じゃあ、というと、図書館の検索コーナーに行って入力してみた。
調べてみると、図書館にあって、しかも借りられていなかった。
とりあえず借りる手続きをすると、ちょうどミホも借りるところだった。