恋心屋

「それで…」とミツキさんが話しかけてきたので、ミツキさんを見つめ直した。


どことなく迷っている表情を浮かべながら、「これからどうします?」と聞いてきた。


しかし、この人はいったい何者なのだろう。


仕事をしているのかわからない。


大学にも行っているんだろうか。


ただ、歳のわりにはひどく落ち着いていて、聡明そうな顔立ちをしている。


実際、僕のことばをきちんと待ってくれるし、受け止めてくれているのも表情からうかがえた。


初対面の印象としては、悪くない。


「あんまりよくわからないんで、一般的な利用者がどんな風にしているのか、教えてくれますか?」


「一般的というのは、ありません」


返事はすぐに返ってきた。

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