恋心屋

シシシと笑う先生は、愉快そうだった。


「青春か。懐かしいな。俺にはもうないからな」


先生は本当に懐かしそうに、そして寂しげに語る。


「先生、まだ二十代でしょ? 青春あるんじゃないですか?」


「青春は、お前ら十代までだな。たしかに年をとって、気持ちだけ若いというひともいる。だが、それは俺に言わせれば大きな勘違いをしながら生きているだけで、見苦しいとおもう」


実は僕もそうおもう。

< 64 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop