恋心屋
「ひととふれあうって、とっても気持ちがいいことなんだって、ミツキさんと出会えて知りました」
「じゃあ、また初めてが増えたんですね」
「はい」
ウソはなかった。
からだとからだとがふれあうことに、これほどのやすらぎを覚えることはこれまでなかったとおもう。
小学生のとき、運動会で男女混み合って踊るフォークダンスの競技で、女子と手がふれあうときよりも緊張をしたことに似ている。
でも、まだ「おとこ」と「おんな」が未分化の時代。
今は、違う。
心地よい安心感がある。
でも、その安心感の裏には、別れるときのおそれがあることも、一方でおもわざるをえない。
深まれば深まるほど、抜けきることができない。
いまならまだやめられる……のだろうか。
ミツキさんのぬくもりを断ち切ることはできないとおもう。
いまはまだ、このぬくもりは大事にしたい。