トツキトオカ
友人宅にて
もうすぐ妊娠6ヶ月に入る頃、日に日にお腹が大きくなりつつあったある土曜日。

私は他県に住む友人の家にお邪魔することになり、電車を乗り継ぎ1時間以上かけて出かけて行った。

友人は3年前と2年前に続けて女の子を出産した。

そう、家にはもうすぐ3歳になる女の子とそのすぐ下の妹、2人の子どもたちがいる。

別の友人から聞いた話によるとその子どもたちはとっても元気いっぱいで毎日大暴れしていると言うが、私は「まあ、女の子だしそれ程でも無いでしょう」とたかをくくっていた。

ところがどっこい、2人の子どもたちは「元気がいい」では済まされないほどのパワーに満ち溢れていた。

大暴れである。

とにかく家中のありとあらゆる家具によじ登る。

テーブル、ソファ、キッチンカウンター、なんとピアノにも。

そのうち私にまでよじ登ろうとしてくる、恐るべし身体能力。

テーブルの上の雑貨やおもちゃ箱などは次々にひっくり返され部屋中にありとあらゆる物が散乱している。

ここに来た時と帰る時とでは同じ部屋とは思えない位の散らかりようだった。

片付けられない芸能人の部屋を片付けのプロが劇的に美しく片付けて、その違いに「わぁーっ!」と驚愕し対比される画像「before」と「after」。

あれがちょうど逆になった感じである。

この部屋、どうやって片付けるんだろう・・。

帰り際に私を見送る友人の笑顔を見ながらそんなことを思った。

帰り道、電車に揺られながらさっきまでの光景が頭の中をぐるぐると回る。

ほんの数時間の滞在で心身共に疲れ果ててしまったのだ。まさに戦争状態。

女の子であれだけの暴れん坊ってことは男の子だったらどうなるんだ?

母親業、私に務まるだろうか…。

いや、あそこは年子だから大変なんだろう、うんきっとそうだ。

そう自分に言い聞かせながらも、一抹の不安にかられる妊婦であった。




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