トツキトオカ
そして待ちに待った6月の妊婦健診。

「スクリーニング検査」という、エコーの検査を行うということでいつものトナカイ先生とは別の先生が診察をした。

「性別はもう聞きましたか?」

キタキタキタキタ、教えて教えて!

「まだです、今日わかりますか」

先生はエコーの角度をぐりっと変えた。

「これが足ですね、それで…」

何か、突起物が見えるっ!!

先生はその突起物を差して言った。

「これが、あれかな。だから、男の子かな」

おとこのこー!!

私はわぁっと声を出し、満面の笑みを浮かべた。

待合室に戻り、すぐにもらったエコー写真を眺めた。

男の子だった。

私はふいに溢れ出してきた涙を慌てて拭った。

妊娠検査薬で陽性のラインが出た時も、赤ちゃんの心臓が見えた時も、人間の形らしくなってきた時も涙は出なかったのに、性別がわかった今初めて感動で泣けてきたのだ。

男の子だとわかって、今自分がお腹の中で人間を育てている実感がますます強く湧いてきた気がした。

心なしか赤ちゃんも喜んで足をパタパタさせているような感じもしてしまう。

病院を出ると夫に電話を掛けた。

「性別わかったよ」

「どっちだった?!」

「男の子だった」

夫と私はしばらく大爆笑した。

女の子だったとしてもきっと大笑いしたと思う。

帰りの電車の中、エコー写真で小さな「男の子のしるし」を眺めてはニンマリし、幸せを噛み締めていた。

今日からお腹の赤ちゃんの呼び名は「小僧」になった。


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