しみる恋。
豊はしばらく考えて、答えた。


「君はひょっとして――お金が必要なの? だから、東京からこんなところまで来て、バイトをしている――違う?」

「嫌な言い方――でも、そうね。親のスネかじりは早く卒業したいの。そのために貯金してるのよ」

「偉いな――予備校生の候補生には眩しい話だよ」

「あら、一発合格ならず、が夢なの?」

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