しみる恋。
彼女はいたずらっぽく、目を輝かせた。

豊は思わず目を伏せた。


「かなわないよ……」

「あっさりしてるのね。現実の闘争なんて、いつでもどこでも、起こってることじゃない」

「うん、僕が馬鹿だったよ……ほんと、馬鹿だった」

「うつむかないの!」


顔をあげた先に、予想していたような残念顔はなかった。

その事に勇気づけられて、豊は頷く。


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